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テンプレート:性的 テンプレート:文学家畜人ヤプー』(かちくじんヤプー)は、1956年より『奇譚クラブ』に連載され、その後断続的に多誌に発表された沼正三の長編SFSM小説

なお、本作品はマゾヒズム汚物愛好、人体改造を含むグロテスクな描写を含む。

連載から出版 編集

『奇譚クラブ』連載時から、この極めて異色な存在は当時の文学者・知識人の間で話題となっていた。そのきっかけは、第一発見者ともいうべき三島由紀夫がこの作品に極度にほれ込み、盛んに多くの人々に紹介したことによる[1]。三島のみならず渋沢龍彦、寺山修司らの賞賛もあり、文学界では知名度の高い作品となった。[2]

『奇譚クラブ』誌上での連載を終えて、誌上の都合で掲載できなかった部分などの作者による加筆の後、都市出版社により単行本が出版され[3]、この際、右翼団体が執拗な出版妨害を行い、1名逮捕・2名指名手配という事件にまで発展した。

『奇譚クラブ』1957年12月号-1959年連載中では連載の打ち切りという事情もあり物語は完結せず、都市出版社版、角川文庫版、スコラ版、太田出版版、幻冬舎アウトロー文庫版と補正加筆が行われながら版が重ねられ、完結に至る。この事情により版により内容に食い違いが存在する。

ストーリー 編集

テンプレート:ネタバレ 婚約したカップルである日本人青年留学生麟一郎ドイツ人女性クララは、ドイツの山中で未来帝国EHS人ポーリーンが乗った未来世界の円盤の墜落事故に巻き込まれる。それがきっかけでクララと麟一郎は、未来世界へ招待されることとなる。

未来帝国EHS(The Empire of Hundred Suns イース = 百太陽帝国、またの名を大英宇宙帝国)は、白色人種「人間」と、隷属する黒色人種の半人間「黒奴」と、旧日本人である家畜「ヤプー」の3色の厳然たる差別の帝国である(なお日本人以外の黄色人種は、未来世界において滅亡している。日本人の人間性は否定され、類人猿の一種とされている)。

ヤプーに対しては、EHSの支配機構は抵抗するものを屈服させるのではなく、予め「奉仕する喜び」を教え込み、服従を喜びのうちにさせる仕組みである。黒奴に対しては、巧妙な支配機構により大規模な抵抗運動は行えないようになっており、小規模の散発的抵抗がまれにあるだけである。黒奴の寿命は30年ほどで、白人の200年より短い。

また、EHSでは女が男を支配し、男女の役割は逆転していた。女権主義の帝国である。EHSの帝位は女系の女子により引き継がれ、男性は私有財産を持つことすら禁止され、政治や軍事は女性のすることで、男性は化粧に何時間も費やす。EHSではSEXにおいても、騎乗位が正常位とされるほど徹底している。

そして、家畜である日本人「ヤプー」たちは家畜であるがゆえに、品種改良のための近親交配や、肉体改造などを受けており、「ヤプー」は知性ある動物・家畜として飼育され、肉便器「セッチン」など様々な用途の道具(生体家具)や畜人馬などの家畜、その他数限りない方法により、食用から愛玩動物に至るまで便利に用いられている。白人たちの出産さえも、子宮畜(ヤプム)に肩代わりさせているほどである。

さらに、日本民族が元々EHS貴族であるアンナ・テラスにより、タイムマシンの利用によって日本列島に放たれた「ヤプー」の末裔であること、日本神話の本来の物語の暴露、これに基づく日本の各種古典の解釈が行われる。

日本人青年の麟一郎と、ドイツ人女性のクララのカップルが空飛ぶ円盤に遭遇したため、このような未来世界へいざなわれた。二人は未来世界で、様々な体験をする。クララは貴族として迎えられ、EHSの事物を満喫する。麟一郎は心身を改造され、凄まじい葛藤を経て、自らクララの家畜として生まれ変わる。その間、わずか一日であった。

主な登場人物 編集

瀬部麟一郎(せべ りんいちろう)
主人公。クララと恋人同士。柔道の達人であり優秀な学生である。ドイツ留学中に、クララと知り合い恋仲になった。未来世界からの円盤(タイムマシン?)が墜落した時、たまたま水浴中であったためクララを案じて裸で飛び出したことにより、ポーリーンにヤプーと誤認され、ポーリーンの猟犬ニューマ(ネアンデルタールハウンドというヤプー)に咬まれ、その毒により全身麻痺状態になる。その後EHSで皮膚強化や去勢完全去勢)などの改造・調教を受けクララの家畜となる。
クララ・フォン・コトヴィッツ
麟一郎の恋人。白人女性ということで、麟一郎の麻痺の治療目的でポーリーンに導かれたEHSにおいて最上級の扱いを受ける。そのため麟一郎の男らしい部分に惹かれていた心が次第に変化し、麟一郎を「リン」と呼び犬のように連れまわすことに何の疑いも持たなくなる。後にEHSの内戦をうまく立ち回り、宰相となる(その過程は描かれていない)。EHSでは姓名を英語風に「クララ・コトウィック」と改めている。
ポーリーン・ジャンセン
EHSから現代(作品世界では1960年代のドイツ)にやってきた女性。クララの麟一郎への思いを見かね、治療しようと(ポーリーンにとっては獣姦である)麟一郎の麻痺治療を名目に麟一郎とクララをEHSに導く。シリウス圏の検事長の要職にあり、ジャンセン侯爵家の嗣女である。また、イース世界でのクララの保護役である。
ドリス・ジャンセン
ポーリーンの妹。スポーツ万能の美少女。父親は平民であり、政治等に関与できない分スポーツに情熱を注ぐ。去勢された麟一郎の精巣を入手し、麟一郎の妹との交配による繁殖を企む。
セシル・ドレイパア
ポーリーンの兄。家畜文化史の専門家。ヤプーについて解説者的役割を果たす。麟一郎が去勢されるはめになった元凶である。
ウィリアム・ドレイパア
セシルの妻の弟。クララに恋心を抱く。男なのにレースに参加するような、EHS世界には珍しい「おてんば」青年。美男。後のクララと結婚、ウィリアム・コトウィック(コトヴィッツ)となる。
アンナ・テラス(オヒルマン公爵)
前地球都督。天照大神ご本人である(西王母でもある)。ポーリーン一行は次女出産のための子宮畜を得るために彼女の下を訪れた。蓄愛主義の創始者であり、みほとけ信仰の創始者である現地球都督ジャーゲン卿と対立することになる。

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単行本 編集

  • 都市出版社(1970年発行): 全28章。『奇譚クラブ』連載版に加筆されている。白人女性アンナ・テラスを天照大神とする記述が右翼から抗議を受けたといわれる。
  • 角川文庫版(1972年発行 ISBN 4041334012): 全28章。都市出版版に更に加筆・修正されている。
  • 角川限定愛蔵版(1984年発行): 全31章。『続家畜人ヤプー』として発表された増補を含む。
  • 太田出版版(1992年発行): 全49章。
  • 幻冬舎アウトロー文庫版: 内容は太田出版版と同じ。

28章までと、それ以降(一説によると21章以降)では、文体や内容に多く差異が見られるため、途中で執筆者が交代したとの説が根強くある。また、Aパートを1章から20章、Bパートを21章から31章、Cパートを32章以降とし、それぞれ執筆者が異なるという説や、Aパートに関してはそもそも複数の人間の手になると言う説もあり、著者の正体と合わせて、その成立過程はハッキリしない。Cパートのみは、作者がハッキリと分かっており、現在公式に沼正三を名乗る天野哲夫の手による。また、太田出版版は、全体に天野哲夫が再構成したことが知られており、読む際には注意が必要である。

派生作品 編集

漫画化 編集

石森章太郎シュガー佐藤により漫画版が製作された。
後に江川達也による漫画も出版されたが、途中で打ち切りとなっている。先の石森・佐藤版よりも描写は丁寧だが、ヤプーが去勢されているという原作の設定を変更するなど、改変も見られる。

単行本 編集

テンプレート:節stub 石森章太郎版

  • 『劇画家畜人ヤプー』(都市出版社、1971年)
  • 『家畜人ヤプー』(辰巳出版、1983年)ISBN 978-4-0487-2370-1
  • 『劇画 家畜人ヤプ- 2巻セット』(辰巳出版、1988年)ISBN 978-4-8864-1023-8
  • 『劇画家畜人ヤプー【復刻版】』(ポット出版、2010年)ISBN 978-4-7808-0143-9

監修:石森章太郎 作画:シュガー佐藤版

  • 『劇画続・家畜人ヤプー「悪夢の日本史」編』(辰巳出版、1984年)ISBN 978-4-8864-1025-2
  • 『劇画家畜人ヤプー【復刻版】2「悪夢の日本史」編』(ポット出版、2010年)ISBN 978-4-7808-0155-2
  • 『劇画家畜人ヤプー「快楽の超SM文明」編』(辰巳出版、1993年)ISBN 978-4-8864-1090-0
  • 『劇画家畜人ヤプー「無条件降伏」編』(辰巳出版、1994年)ISBN 978-4-8864-1103-7

江川達也版

舞台化 編集

2000年5月、2005年1月に月蝕歌劇団(演出 高取英、音楽 J・A・シーザー)により2度上演。 2010年9月1日~6日に「沼正三/家畜人ヤプー」として月蝕歌劇団(演出 高取英、音楽 J・A・シーザー)によりザムザ阿佐ヶ谷にて3度目の上演。しのはら美加がクララを演じた。

映画化(予定) 編集

プロデューサー康芳夫の下、長谷川和彦の監督作品第3作目として製作準備が進められていたが、2009年12月12日新文芸坐において行われた長谷川と三留まゆみとのトークショーの中で長谷川が「三、四年前に企画は頓挫した」と発言したことから、ヤプーの映画化は実質無に帰したものと思われる。

脚注 編集

  1. この点に関し、後に三島は自らの思想的な問題(楯の会での一連の右翼的行動)もあって本作品に対する評価を次第に変えていった、とする趣旨の奥野健男の主張が初版単行本「あとがき」にあるが、単行本刊行後(三島自決直前)に行われた三島と寺山修司との対談の中で、三島自身がこの奥野の主張を事実無根として、憤慨の念を込めて強く否定している
  2. なお、前記倉田卓次元判事の回想録には、この作品の製作過程における三島本人の匿名による関与があった可能性を示唆した記述がある。
  3. 初版の出版には康芳夫が関与

関連項目 編集

テンプレート:Lit-stubfr:Yapou, bétail humain it:Yapoo_-_Il_bestiame_umano_(romanzo)

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