テンプレート:漫画 『変身忍者嵐』(へんしんにんじゃあらし)は、日本の漫画作品。本項では、大都社版コミックスを元に、
- 原作者・石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)の作品
- 『変身忍者嵐』(週刊少年マガジン連載分)全2巻
- 『新・変身忍者嵐』(希望の友連載分)全1巻
- 石川賢によるコミカライズ作品
- 『変身忍者嵐外伝』(冒険王連載分)全2巻
の、3作を扱う。なお、同タイトルの特撮テレビ番組については『変身忍者 嵐』を参照。
共通設定[]
江戸時代を舞台にした忍者作品。主人公はハヤテという青年で、嵐という鳥人に変身(化身)する。
ハヤテの協力者には、伊賀忍者の親子がいる。父は名張のタツマキ(名張の竜巻)、娘はカスミ、その弟はツムジ。
敵は血車党(ちぐるまとう)という忍者集団で、ハヤテ(嵐)と同じ変身(化身)能力を持つ。首領は血車魔神斎、幹部(副首領)は骸骨丸(がいこつ丸、ガイコツ丸とも表記)。なお、ハヤテも血車党の出身である。
TV版は『仮面ライダー』の時代劇版を目指して製作されたが、本作(コミック版)は、よりスプラッター描写の多い作品となっている(刀や斧などの武器を手にしており、首が切り落とされるシーンなども多い)。
テンプレート:ネタバレ
石森章太郎版[]
敵は血車党のみであり、TV版の西洋妖怪は登場しない。タツマキ親子は途中で退場し、ハヤテの一人旅になる(『変身~』には、第1話のみ登場。『新~』は第2話~第7話まで)。
エピソードはTV版と違うものであり、『変身~』、『新~』、どちらとも違う内容となっている。嵐の姿で止めを刺さない、あるいは嵐に変身しないエピソードも存在する。
最終回もTV版と異なっており、しかも2作とも異なるどんでん返しが用意されている。
変身忍者嵐[]
『週刊少年マガジン』1972年10号 - 41号に連載。全12話。大都社版の他に、サンワイドコミックス版が存在する。
基本的に一話完結であるが、エピソードをまたいで登場するキャラクターがレギュラー以外にもいる(梅雨道軒、李徴子の妻子)。化身忍者の姿は、TV版のような獣人タイプの他、動物そのものの外見に変身する者もいる(ゾウ、トラなど)。また、骨餓身丸は、そのどちらとも違うタイプに化身している(骸骨丸は、本作では骨餓身丸(ほねがみまる)という名称になっている)。
石ノ森は自身が手掛けた時代劇作品の中でも本作をたいへん気に入っており、物語を重視するため意図的に変身後である嵐の出番を削っていたという[1]。
特筆するエピソード、最終回[]
以下、モデルのあるエピソードや、時系列の書かれているエピソード、最終回などについて。
- 第2話
- 鍋島の猫騒動(1607年)がモデル。鍋島直茂(1538年 - 1618年)も登場。
- 第3話
- 葛の葉がモデル。
- 第8話
- 1660年(万治3年)の大阪城が舞台。
- 第2話とは53年の時間差がある。
- 第9話
- 李徴子は中島敦の『山月記』がモデル。
- 李徴子の出自に絡み、鄭芝竜(1604年 - 1661年)の名前が出てくる。
- 第11話
- 骨餓身丸の過去と、その最期が描かれる。照手姫の名が登場する。
- 第1話に登場し、以後、消息不明だった梅雨道軒もハヤテに倒される。
- 第12話(最終話)
- 果ての無い戦いに、疑問と虚無感を持ったハヤテは、ある里に辿り着く。そこには、オオカミに変身する大勢の子供たちと、血車魔神斎がいた。ハヤテは全てを斬るが、魔神斎はハヤテの父、鬼十だった。
- 鬼十は、かつて本物の魔神斎を斬ったが、負傷で記憶を失い、以後は魔神斎として生きてきたのだった。ハヤテは、残った女たち(魔神斎=鬼十の妻たち)により、「親殺し」、「兄弟殺し」と罵られる。
サブタイトル[]
- 化身忍群、闇に踊る
- 青い猫の夜
- 白い狐、枯れ野を走る
- 視よ 蒼ざめたる馬 その名は死
- 地の底で黄金の牛が鳴く
- 蜜蜂の羽音は地獄の子守唄
- 菩薩の牙が霧を裂く
- 獺祭りの雷太鼓
- 虎落笛の遠い夏
- 呪いの孔雀曼陀羅
- 血車がゆく、餓鬼阿弥の道
- 犬神の里に吠える
コミックス[]
大都社STコミックス
- ISBN 4-88653-098-2 1997年12月5日
- ISBN 4-88653-099-0 1997年12月5日
関連項目[]
- スカルマン#島本和彦版 - 最終回において登場するハヤテは、『変身忍者嵐』版をモデルとしている。
新・変身忍者嵐[]
『希望の友』1972年4月号 - 1973年3月号に連載。全12話。1998年、大都社より初めて単行本化される。
一話完結。化身忍者の姿は、TV版のような獣人タイプの他、動物以外に変身する者もいる(雪女、ミイラなど)。
特筆するエピソード、最終回[]
以下、モデルのあるエピソード、最終回などについて。
- 第7話
- 『堤中納言物語』の『虫愛づる姫君』がモデル(本作では「虫愛ずる姫」と表記)。
- 第11話
- 『雪女』がモデル。
- 第12話(最終話)
- 血車党(化身忍者)は宇宙人であり、人間体(地球人の姿)の方が変身後の姿である。
- 宇宙船の事故により地球に不時着したが、修理が終わったため、地球を去る。
- がいこつ丸(骸骨丸)は以上の真実を明かし、ハヤテにも帰郷を促す。しかし、ハヤテが断ったため、がいこつ丸らはハヤテを置いて帰還。ハヤテは血車魔神斎を倒すが、それはロボットにしか過ぎなかった…。
サブタイトル[]
- 嵐 見参!!
- 河童子ものがたり
- 化身忍者ヂグモンド
- ガマ四次元ただいま参上!!
- 千年杉の大鴉
- 化身忍者また化身
- 虫愛ずる姫
- 血闘!!変幻狼男
- 化身ミイラ忍者の怪
- ムササビは夜空をとぶ
- 雪女郎が戸をたたく夜
- さらば変身一族
コミックス[]
大都社STコミックス
- ISBN 4-88653-105-9 1998年6月8日
石川賢版[]
大都社版コミックスは、『変身忍者嵐』(全2巻)と、後発の『変身忍者嵐外伝』(全2巻)があるが、本項では『変身忍者嵐外伝』を元にする(第8章、第13章、第15章、第17章は原稿が紛失しており、『変身忍者嵐』には収録されていなかった。『変身忍者嵐外伝』は、全17章で構成されている)。
西洋妖怪編以降のキャラクター等については、変身忍者 嵐#主な登場人物を参照。
変身忍者嵐外伝[]
『冒険王』1972年5月号 - 1973年3月号、1972年夏の増刊号、1972年お正月増刊号、及び『別冊冒険王』1972年夏季号 - 1973年春季号に連載。
コミカライズ作品であり、TV版に準拠した内容となっている(1973年のコミカライズ作品『ウルトラマンタロウ』が石川賢のオリジナル設定なのとは正反対)。第9章以降は、ほぼ毎回、複数の怪人がサブタイトルに登場し、オリジナル色が出てくる(複数の怪人が劇中に登場するのは、第3章から)。
第7章より「西洋妖怪編」に移行、第8章ではガイコツ丸(骸骨丸)が戦死する。西洋妖怪、悪魔道人、大魔王サタン、月ノ輪(フユテ)、百地三太夫、新生嵐も登場。ツムジは最終回まで登場するが、タツマキとカスミはTV同様、途中で退場する(第10章、百地三太夫のエピソードまで)。
終盤は簡素化されており、シノブ(ハヤテの母)、カゲリ、ツユハは登場しない。また、イタチ小僧は第15章のみのゲスト出演となっている(TV版は潮健児演ずる中年男性だが、石川版は小僧に相応しい外見になっている)。
石ノ森(石森)版もスプラッター描写があるが、石川版は、さらに過激である(第12章で、「死体から斬り落とされた顔」が襲いかかるシーンに顕著)。
掲載誌の違いにより、最終回が2種類ある(第16章は『別冊冒険王』、第17章は『冒険王』の最終回)。第17章の方がTV版に近い内容である(第16章は大魔王サタンが登場せず、クンバーナと再生怪人軍団を倒して終了する)。
テンプレート:ネタバレ終了
サブタイトル[]
- ネコマンダラ
- 死人ふくろう
- 吸血ムカデ
- 人食いカラス
- 顔なしカワウソとキバギツネ
- ノミドクロ
- ドラキュラ
- 鬼目の幻十郎
- オオカミ男とフランケン
- スフィンクスとタランチュラ
- マーダラとメドーサ
- モズマとワーラス
- サイレンとバラーラ
- 月の輪の正体
- ジャワラとインディゴ
- 西洋怪人復活
- 大魔王サタン
コミックス[]
『変身忍者嵐外伝』大都社STコミックス
- ISBN 4-88653-133-4 1999年12月8日
- ISBN 4-88653-134-2 1999年12月8日
『変身忍者嵐』大都社スターコミックス
- ISBN 4-88653-324-8 1986年6月30日
- ISBN 4-88653-325-6 1986年6月30日(同日)
脚注[]
- ↑ テレビマガジン特別編集『変身ヒーロー大全集』(講談社)152Pより。